「ホスピタリティ・マネジメントプログラム海外研究プロジェクト」は、山内弘隆教授、妹尾堅一郎客員教授、岡本純也准教授の引率のもと、16名の学生が参加し、8月23日~29日の6泊7日の行程にて実施されました。今回の研修の主たる目的は、日本一の旅館*1として有名な加賀屋が2010年12月に台湾への進出を果たしたことを受け、日本のホスピタリティである「おもてなし」がいかに輸出され、また、ローカライズされているかを体感することでした。そのため、石川県の和倉温泉にある加賀屋および台湾・北投温泉にある日勝生加賀屋に宿泊し、その違いの比較をいたしました。あわせて、ヤマト運輸およびベネッセ、ワタベウェディングなど、台湾に進出している日本企業を訪問し、日本のサービスの海外輸出の実態を視察してきました。
非常に密度の濃い一週間を経て、私はとても多くのことを学びました。とくに印象に残ったのは次の2点です。1つめは、現地で体験することの大切さ、すなわち「百聞は一見にしかず」という点です。感動を生みだす加賀屋のサービスは、多くの人によって書物に書かれているので、私もある程度の予備知識は持っていました。しかしながら、そのサービスの本質は、実際にそのサービスを受けることによって、はじめて理解することができました。サービスとは人間の行為をはじめとする無形物であり、この定量的なものを理解するには体験が必要でした。2つめに、台湾という市場の重要性です。台湾ベネッセの董事長である小橋様の、「台湾は急成長する中国の前に霞んでしまう小島ではない。依然として単独としても十分魅力的な市場であるし、またその地理的・文化的特性は、東アジア・東南アジアへの布石として日本企業にとってますます重要なパートナーとなるだろう。」との言葉は非常に印象的でした。日々、現地でビジネスを展開されておられる方だからこそ発見できる台湾の特性であると思います。このようなお話をうかがえたことは、私にとって、とても貴重な体験となりました。
このように実り多き研修となりましたのは、多忙にもかかわらず、経営トップが応対してくださいました訪問先の企業のご厚意によるものです。改めて御礼申し上げます。また、一週間を通してご指導下さいました先生方、ご寄付して下さいましたJTBとJR東日本、そしてこの研修をプログラムしてくださいました先輩方のおかげで、より充実したものとなりました。ありがとうございました。(12期 佐藤)
*1 旅行新聞新社が主催する「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」にて31年連続で総合部門1位として認定・表彰されている。